放送を実際に聞くことができます。
ワンダーランド11989年12月18日放送分
ワンダーランド21989年12月19日放送分
ワンダーランド31989年12月20日放送分
ワンダーランド41989年12月21日放送分
ワンダーランド51989年12月22日放送分


266/512   PDG00560  秋山千春          木村太郎のワンダーランド 12/18放送分
( 6)   90/01/08 15:45                   コメント数:2

昨年の12月18日から22日まで、TBSラジオ、「木村太郎のワンダーランド」と
いう番組で、木村太郎さんとシスオペの神田が対談いたしました。
その放送分を文字におこしましたので、今日から5回にわけて、アップいたし
ます。
                                 秋山(マ〜ガレット)

TBS ラジオ  「木村太郎のワンダーランド」  12/18(月) 18:30 〜

出演者: 木村太郎さん、木場弘子さん (アナウンサー) 、神田泰典

木場「今週のお客様は、日本語ワープロの生みの親とおよびしてよろしいでしょ
   うか?   富士通  常務理事の神田 泰典さんです。」
木村「神田さんどうも  こんばんは」
一同「こんばんは」
木村「神田さん、日本にワープロというものが出てきて、だいたい10年。神田さん
   が生みの親でおられる訳ですけれども、ワープロワープロといいますとコン
   ピュータと別のものみたいな... 実はこれは同じものですよね?」
神田「そうですね。なかみは、蓋をあけますとコンピュータです。」
木村「神田さんは、元々コンピュータの開発からおはじめになられたのですか?」
神田「そうです。」
木村「コンピュータのどこが?   もちろん理工学部のご出身だろうと思いますが、
    コンピュータのどこにひかれたのですか?」
神田「今でいえば、パソコン少年と同じ発想です。理屈通り人間のやりたいことを
  や  ってくれるっていうところでしょうかねぇ。」
木村「コンピュータにほれた男がワープロという世界、このきっかけはどんなこと
    だったのですか?」
神田「コンピュータを最初作っていて、アメリカとの差が凄く大きかったんですね
   。まあ、それで一生懸命にやりました。やった結果、昭和五十年とか、その
   くらいになりますと、日本もアメリカに追い越したかどうかはわかりません
   が、かなり追いついたという段階になりました。それまではアメリカでやっ
   ているコンピュータを、日本で実現しよう!ということで一生懸命にやって
   きた訳ですが、出来てみると何かおかしいなあ....ということに気がつきま
   した。」
木村「おかしいなあと思った訳ですか?」
神田「というのは、アメリカ人は自分のために、コンピュータをアメリカで開発し
   てきました。それを我々が日本に持ってきて、同じように使える面と同じよ
   うに使えない面とがあるのです。」
木村「よくわからないんですが?  それはどう意味ですか?」
神田「我々は日本語を使っていますが、アメリカのコンピュータは日本語を使って
   いません。だからアメリカのコンピュータをいくら一生懸命作ってみても、
   日本では使えないという場合が随分あります。僕はエンジニアーですから、
   日本でいくらコンピュータを作っても、日本で使えなければ何もならない訳
   ですね。」
木村「今、おっしゃっているのは、コンピュータのいろんな用語が英語だからとい
   うことですか?」
神田「そういうこともありますけれども。コンピュータに扱わせる情報というのは
   アメリカ人はもちろん英語を使ってますから、英語でコンピュータを使いま
   すし、英語の情報をコンピュータで処理しています。ところが日本に持って
   きますと、日本人は日本語をしゃべってます。特に日本人は、漢字とかなを
   使ってます。コンピュータは漢字やかなを、アメリカでは仕込まれていませ
   ん。」
木村「あははは」
神田「ですから、日本に連れてきても日本では読んだり書いたりできない訳です。
   我々が、日本語を使っているような局面をコンピュータにやらせようと思い
   ますと、全然できないのです。」
木村「それはそうですね。コンピュータとワープロというのを分けるのがいいかど
   うかは別にしまして... お作りになって、今、日本はほとんどコンピュータ
   はワープロになりました。これは文書作成機であって、いわゆるコンピュー
   タとしての機能もありますが、ちょっと違う訳ですよね。日本でパソコンが
   一時ブームになりながら、駄目になりましたねぇ?  これはどうしてなんで
   すか?」
神田「アメリカのパソコンというのはですね。アメリカのワープロ=アメリカのタ
   イプライタが高級になったのがパソコンです。アメリカには、ご存じのよう
   にタイプライタというのがあります。あれは 100年くらいの歴史があります
   。それがアメリカで広く使われて、その上にコンピュータがのって、もっと
   便利になったタイプライタというのが、アメリカのパソコンなんですね。」
木村「要するに、アメリカでもコンピュータはワードプロセッサとして使っている
   率が非常に高いということですね。」
神田「アメリカのパソコンもワードプロセッサとして使われているんです。彼らは
   タイプライタを使っている訳ですから、その延長上で、アメリカのパソコン
   というのを使っています。キーボードがついていて、画面がありまして、遠
   くからぼんやり見ていると、タイプライタと何も変わらないです。」木村「
   そうですね。」
神田「彼らはもともとタイプライタを広く使ってますから、パソコンというものに
   対しても、何の違和感も無いです。電動タイプライタという手でガチャガチ
   ャ押さなくても打てるタイプライタの次に、もっと便利なタイプライタでち
   ょっとぐらい間違っても、いくらでも修正できるというタイプライタが出て
   きたぐらいのつもりですね。彼らにとっては... 。」
木村「そうしますと、私はお陰様でワープロは親しませて頂いておりますが、パソ
   コンを使ってないということをとても引け目みたいに感じています。そんな
   必要はない訳ですね。」
神田「アメリカ人もだいたいはタイプライタの延長として使っているんですね。」
木村「木場さんは、パソコン?...ワープロ?...を使っていますか?」
木場「ワープロです。ワープロは半年くらい前にはじめました。遅いんですけれど
   も。」
木村「まだ便利だ!!  というところまではいってない?」
木場「まだまだ、指から目が離せないものですから、画面を見れないという....」
木村「この頃は、私はお陰様でこれがないと原稿が打てなくなりました。はじめ、
   倍早いといってましたけど三倍早いですね。」
神田「そうかもわかりませんねぇ。」
木村「結局、文章の入かえとか、修正とか、削除とか。もっと一番大事なのは、な
   んとなく画面も綺麗に出てきてうっとりとしまして、汚い字で書きなぐった
   原稿と違って、こだわらなくなってどんどん先に進むようになりました。」
神田「そうおっしゃる方、おられますね。ある作家の先生ですけど、今まで手で原
   稿を書いている時は、仕事場に行くのがうんざりしたと。ところがワープロ
   でやるようになって嬉々として仕事ができる... 字は凄いうまい方ですけど
   ね。」
木村「へ〜、私は字がぜんぜん下手くそなので、余計...ふふふ。」
神田「あははは」
木村「そういう意味でやっと10年たちまして、日本にもワープロ文化といったらい
   いのでしょうか?    だんだん近づいてきたのかなという気がするんですけ
   ど、それをもたらした、神田さんの作られたOASYS の開発の話を、是非、明
   日はお聞かせ下さい。」
神田「わかりました。」
                           つづく


269/512   PDG00560  秋山千春          木村太郎のワンダーランド 12/19放送分
( 6)   90/01/09 11:30

TBS ラジオ  「木村太郎のワンダーランド」  12/19(火) 18:30 〜

出演者: 木村太郎さん、木場弘子さん (アナウンサー) 、神田泰典

木場「今週のお客様は、富士通  常務理事でいらっしゃいます神田泰典さんです。」
木村「神田さんはワープロの生みの親というなんですけれども。昨日はコンピュー
   タとワープロは実は同じものだと、まあ、当たり前のようなことなんですけ
   れども....という話を伺いました。そこから日本語のコンピュータを作ろう
   じゃあないか! というのがワープロの発想だと思います。ただ、これにはと
   んでもないいろいろなご苦労があったとと思います。例えば、広辞苑みたい
   なものを山ほど入れておいて、それを引き出せばいいとか、いろいろあると
   思うのですが、どうなったのですか?
神田「結果としてそうなりました。辞書をいれておいて、かなでコンピュータにい
   れまして、辞書を使って正しい漢字に直していく..変換するというやりか
   たです。」
木村「もう一つですね。極、初期にタイプライタ方式みたいなのがありました。」
神田「昔、和文タイプライタ、邦文タイプライタというのがありました。」
木村「大きい画面のですね。」
神田「漢字が全部並んでまして、漢字をひとつひとつ押さえていけば、漢字が入る
   というものです。私の名前は神田ですから、神という字をポンと押さえて、
   田という字を押せばよい訳です。えらい簡単のように見えました。機械も安
   くできますが、やってみますとなかなか上手くいきません。」
木村「どうしてですか?」
神田「漢字というものが読み方と、一対一に対応してないんです。自分でこういう
   文書を入れようと思っても、その文字を捜すのがなかなか上手く捜せません
   。最初は、そういう機械も発売されましたが、一年くらいで使えないという
   ことがわかって、あっ! という間に廃れました。」
木村「そうですね。見なくなりました。」
神田「そういう機械の方が安くできます。それから、かな漢字変換ですと、かなか
   ら漢字に変換するといったって、そう上手く必ず当たるといいますか、当た
   らない場合もいっぱいある訳です。和文タイプライタは、漢字を押さえてい
   く訳ですから確実に字が入る訳です。そういう意味で、かな漢字変換に比べ
   ても確実といえば確実なんですね。」
木村「それは思いつかれるのが面白かったと思うのですが、例えば、お名前の神田
   と、か・ん・たに濁点ですが、神にたんぼという字が出てくるかもしれませ
   んし、或いは、ものを噛んだという字が出てくるかもしれません。いろんな
   字が出てきます。そういう発想というのは、先に何かあったのですか?  先
   程の和文タイプライタみたいなものの変わりに... 」
神田「かな漢字変換というのは、私どもがやっている時に、すでにこういうことを
   やっておられる先覚者の方のアイディアというものがありました。昭和40年
   代、30年代からだと思います。九州大学の栗原先生という、今はもうお亡く
   なりになりましたが、そういう方が研究された成果がありました。かなをい
   れて漢字に変換する、辞書を使って変換するという発想は、もう、我々がや
   りだした頃にはアイディアとしてありました。」
木村「アルファベットの場合は、26文字あればいい訳ですが、少なくとも日本語の
   場合、四十いくつある訳ですから、手を動かすだけでも、覚えるのも倍必要
   になります。お作りになる方から、当然、使いやすいものをという風に考え
   て作られていると思いますが、普通の人がやるぞ!!  って考えて、一年発起
   したとして、だいたいどのくらいで覚えられるようになることを想定して作
   られているのですか?」
神田「まあ、自動車の運転にしても、一日中練習して、三日で上手くなるというこ
   とはたぶんないと思います。例えば、一日、二時間ずつやって、二、三週間
   で覚えるとか、身体にこういうものがつかないといけないで、それくらいの
   つもりでおやりになればよいかと思います。まず、やるぞ! と思わないと駄
   目ですね。本当にできるのだろうか?  ではなく、まあ、これはすべてのこ
   とにいえることですが。二、三週間やるつもりで、一通りできるようになれ
   ば欲も出てきますし、いけると思います。自動車の運転よりは安全ですんで
   、ぶつかったりはしませんし... 」
木村「あはは、なるほど。今では、会社の中にどんどん入ってきています。私ども
   の職業も、藁半紙に鉛筆なめて字を書いていたのが、だんだん電気的になり
   ました。面白いことに以外に若い人間よりも、中高年の方が、これをやらな
   いと取り残されるぞ!  という危機感があります。私がNHKにいた時に、
   このシステムが導入されまして、一番最初に覚えたのが部長でした。」
神田「あ〜、そうですか。」
木村「その次に副部長だったと思います。若い奴ほど、あんなものいつでも覚えら
   れるという感じでした。もちろん、若い人は、アッ! という間に覚えますけ
   ど。面白いですね。あ〜いうものが会社の中に導入される会社の中の動きと
   いうのは... 」
神田「そうかもわかりませんね。特に日本語を扱うものですから、文章を書くとい
   うことは、ただやたらに文字を書けばいいというものではありません。そう
   すると、経験もあって、文章を書いておられるという方が、覚えられるとい
   うことは不思議なことではないと思います。」
木村「オアシスの開発の過程で、日本語と正面から取り組んだ訳ですが、日本語と
   いうのは、世界でも奇々怪々な言葉....言葉というのはおかしいですね、字
   は何種類も違うものを使って... 」
神田「結果としてそうなりました。世界的にも凄くユニークですね。僕は優れてい
   ると思います。素晴らしい文化財産ですね。逆にいうと、そういう発想は世
   界に広めていかないといけないというくらいに思っています。」
木村「そういう曖昧なものをコンピュータという数式の中に入れようとしたらそれ
   は大変なことではないですか?」
神田「そうですね。だからなんあまり全部入れようと思わないで、適当なところ、
   まあ、緩衝地帯を残しておいてやればいいと思います。現在でもそれが残っ
   てる訳ですね。」
木村「今、お手許に一番最近の、ノートブックくらいのもの凄い小さいのを持って
   きて頂いている訳ですけれども、私がはじめて使った時には、机がいっぱい
   になるくらいの大きさでした。その発展の度合いは大変なことだと思います。
   明日は、是非、これからのワープロといいますか、コンピュータは何ができ
   るようになるのか、どれくらいまでいくのか、その辺の話を伺いたいと思い
   ます。」
神田「わかりました。」
                         つづく


272/512   PDG00560  秋山千春          木村太郎のワンダーランド 12/20放送分
( 6)   90/01/10 10:42

TBS ラジオ  「木村太郎のワンダーランド」  12/20(水) 18:30 〜

出演者: 木村太郎さん、木場弘子さん (アナウンサー) 、神田泰典

木場「今週のお客様は、富士通の常務理事でいらっしゃいます神田泰典さんです。」
木村「持ってきて頂いているワープロ、小さいですね。本当に..。A4のノートブッ
   クくらいですか。」
神田「そうですね。」
木村「あの〜、実は私は神田さんに、もう、フリーになった時に、2 、3 年前です
   かねぇ、通信機能を教えて頂きました。それがあるために、世界中どこから
   でも原稿が送れたりということをやれるようになって、それで今のフリーに
   なってやっと商売ができるようになりました。本当に便利にしています。」
一同「あはは」
木村「ひとつこの小さなコンピュータを持って行って、アメリカの田舎からでも、
   ただ送るだけではなくて、データベースを呼び出しまして、いろんな資料を
   見て、それを元に原稿を書いてまた送るとか。」
神田「そうですね。」
木村「通信というのは、これからのワープロとか、パソコンなどの大変なひとつの
   機能になってくるんでしょうねぇ?」
神田「..と思いますねぇ。今までは自分で持って一人で使うとか。ワープロで手紙
   を作っても紙の上に印刷しました。封筒に入れて、切手を貼って郵便で送る
   。ところが電話線で送れば、相手もワープロとかパソコンを持ってますと信
   号だけで送れます。そうすると紙で送ることはいらない訳ですから、時間は
   かかりませんし、紙もいらないし、確実に届きます。今までおうちの中で自
   動車を乗り回していたのが、これからは外に出ていくという感じですね。人
   と会うとか、どこかで会うために皆で集まるとか。よその家に行くとか。電
   話線の上をこういうワープロに乗って行くという感じですね。実際には身体
   は動かないで、情報だけで動くというものです。例えば、先程おっしゃった
   ように、外国から日本のデータベースをひくということは、日本に行ってデ
   ータベース、図書館を見てくるというのに近い訳です。実際には行かないの
   ですが、電話線を使って行くというものです。そういう意味では、これは乗
   物なのです。」
木村「今、おっしゃったメールという、電子手紙、これが私にとって一番よくて悪
   かったものです。どこにいてもつかまってしまいます。要するに、IDをふた
   つ持っていますから、僕がどこにいるかわからない時など、私の事務所が私
   宛にメッセージを入れておきますと、どこでもつかまってしまうのです。ス
   イッチをいれると、「今、どこですか?」とメッセージが入っています。こ
   れは困りましたね。それから、実は通信機能を使って、原稿をいろんな会社
   に送っていましたら、たまたま雑誌社の担当の編集の方が、パソコン通信の
   会員でいらして、自分でもIDを持っています。それにつかまってしまったも
   のですから、今度は、パソコン通信を使って、原稿を矢のように催促されて
   逃げきれないようになってしまいました。」
神田「空間、時間を越えて通信できる訳ですからね。ロジカルにその人のところに
   情報を送ることができる訳ですね。電話ですと、その何番の電話が鳴るだけ
   ですから、その回りに人がいなければ、また、そこにその人がいなければ情
   報が伝わりません。これは直接その人のところに行きますので、確かにおっ
   しゃるように便利な面はありますが、逃げられません。」
木村「逃げられないですね、これは... 。  大変なものを発明して頂いちゃって! 
   もちろん、神田さんもパソコン通信なんかは..... 。」
神田「ええ。すごく熱心にやってます。NIFTY-Serve といいまして、もう、かれこ
   れ3 年くらい商用サービスをやっています。だんだん仕事においても重要だ
   し、益々これからこういうものが広がっていくなあ..という予感がものすご
   くしますね。」
木村「そうですか。」
神田「そのためのプロモーションといいますか、すごく熱心にやっています。  」
木村「このパソコン通信、ワープロ通信というのは、どちらかというとこれまでは
   趣味の人が、なんとなく「通じたよ!   元気? 」なんてやってたんですが、
   もう、今は随分ビジネスに使われるようになりましたね。」
神田「そうですね。アマチュア無線に非常に似ているところがありますので、趣味
   だという風に見られている面もあります。もちろん、それは趣味としてお使
   いになっておられる方もいらっしゃいますが、ビジネスで使えるようになる
   と思います。これから益々そういう風になっていくと思います。あまり趣味
   とか、ビジネスとかわけないで、楽しみながらビジネスをやるといった方が
   いいかもわかりませんね。」
木村「私が知っている人で、この小さなパソコンをひとつ持ちまして、営業してま
   わっています。商談が成立したり、問題が起きると、その場で電話を借りて
   自分のコンピュータにパラパラっとそこから打ち込んでおいて、全部まとま
   ったものを一日が終わって、整理するとかなさっている方もいらっしゃいま
   す。」
神田「今まではそういうシステムを、わりとある会社の決まったシステムというこ
   とでやっていた訳ですけれども、これからのパソコン通信、ワープロ通信と
   いうのは、電話の次の新しい情報のネットワークみたいな形になっていくと
   思います。」
木村「今はメールという、手紙を相手のところに送るとか。或いは、データベース
   というような、私はそれが一番役に立っています。通信を使うと可能性はど
   んどん開かれていくと思いますが。」
神田「ええ、そうですね。今、盛んにやっているのは、フォーラムといいまして、
   会議室のようなものです。そこに人がたくさん集まって、ディスカッション
   したり、情報を知らせたりできるものです。私どもがやっていますのは、オ
   アシスフォーラムです。私どもはオアシスという機械をお客様に使って頂い
   ておりますので、新しい機械が出ましたら、こういう機械が出ましたよ! と
   か。こういうところがわからないから教えて下さい! というと、それに対し
   て答えて差し上げます。それをみなさんの前でやりますので、他の人は、普
   通のパネルディスカッションとか、いわゆるフォーラムといった、直接、人
   が会場に集まってやるのと同じような感じです。それを電線の上でやるとい
   う感じですね。」
木村「わかりました。まあ、ワープロ、コンピュータの将来というのは、かなりい
   ろんなことが、まあ、前からできると言われていますが、具体的に見えてき
   はじめたなあという感じがします。明日はその辺のことをもう少し伺いたい
   と思います。」
神田「はい。」
                        つづく


280/512   PDG00560  秋山千春          木村太郎のワンダーランド 12/21 放送分
( 6)   90/01/11 09:53

TBS ラジオ  「木村太郎のワンダーランド」  12/21(木) 18:30 〜

出演者: 木村太郎さん、木場弘子さん (アナウンサー) 、神田泰典

木場「今週のお客様は、富士通の常務理事でいらっしゃいます神田泰典さんです。」
木村「昨日は、パソコンに通信機能がついたり、或いは、これが字を書かなくてそ
    のまま出版出来たり、自分で出版ができる道具として使えるようになってき
    たというお話を伺いました。実は私はワシントンによく行きますので、スミ
    ソニアに最初のコンピュータが飾ってあります。どのくらいでしょうか....
     50坪くらいの部屋いっぱいに大きな道具がおいてあります。」
神田「真空管が何千本とありますね。」
木村「ええ、真空管が山とおいてあります。それができる計算は、今の電卓よりで
     きないそうですね。」
神田「ええ、まあ、そうですね。電卓の方がずっと早いですね。1946年ですけど、
      相当、昔の機械です。」
木村「そんな大きいコンピュータからはじまって、ずっと今、小さくなっていろん
     なことができるようになりました。よくコンピュータにできないことは、米
     を炊くことぐらいだといわれます。やはり、神田さんもコンピュータの仕事
    をして、コンピュータにできないことはないという風に考えて....」
神田「いえ、そういうことはありません。ワープロとか、日本語のことをやってい
     きますと、人間のことをいろいろ考えるようになりました。人間とはすごい
     ことができるなあ..というのがだんだんわかってきました。何千年、何万年
     ものちに、コンピュータがどこまで進むかといったらよく分かりませんが、
     現状の僕らの感じでは、人間の方がずっと素晴らしいですね。コンピュータ
     というのは、所詮、我々の道具にしか成りえません。我々がいかに道具を使
     って、我々の目的にあったことをやるかということだと思います。所詮、道
    具だと思います。」
木村「所詮、道具に過ぎないというのは、かなとか漢字とか、日本人がずっと今ま
     で使ってきて、今も曖昧としながら使っている部分というものを、機械はど
    うしてもできないということ....ですか?」
神田「ええ、そうですね。機械は人間に比べますと、正確だとか、早いとか、容量
     がでかいとかいうことはありますが、あまり能力そのものは高くないですね。
     人間の方が、例えば、ものを見てそれが何かがわかります。猫を見て猫とわ
     かります。猫を見て、猫かどうか、コンピュータにテレビカメラをつけまし
     て、猫と犬とを連れてきて、どちらが犬か?  猫か?  といいましても、そ
     れはもう機械にはわかりません。ところが人間ですと、3 才くらいの子供に
     なりますと、ニャンコかワンワンかというのは、教えなくてもわかります。
     コンピュータは今でもよくわからないですね。大きいのが犬かといいますと、
     大きい猫もいますし、小さい犬もいます。ヒゲが生えていたら猫か?  とい
     いますと、犬にもヒゲは生えています。そういうことはなかなか難しいです
     ね。ものの形を見たり、声を聞き分けたりということは、いまだにまだよく
    原理すらわかっていないのが現実です。」
木村「ほ〜。コンピュータがいろんなものの認識をしたり、それから、判断をした
     りということが、これからの課題だとよくいわれます。おっしゃったように
    難しいかもしれませんが、できないことはないんですか?  」
神田「いや〜、ある程度、限定をしてやらせるということはできますね。こうこう
     こういう状態だから、こうしなさい! ということを教えておいてやれるとい
    うことはできると思います。」
木村「逆にいうと、コンピュータの役割というものは、感性が問われるという部分
     ではなくて、人間が努力しなくてはいけない部分をさっさとやらした方がい
      いということですね。」
神田「そうですね。夜も寝ないでやるとか、間違わないでやるとかですね。早くや
      るとか。」
木村「その間、人間は酒を飲んでいればいいとか..。」
神田「そうですね。酒を飲んでもっといいアイディアでも考えるとか。次に何をや
      らせようかと考えていればいいと思います。」
木村「例えば、翻訳なんていうのはどうでしょうか?」
神田「翻訳は、結構、いけるようになってきました。というのは、翻訳は人間がや
     ってもどっち道うまくいかない訳ですし、誰もできる訳ではありません。そ
     うすると、コンピュータでかなりいい加減に、ただ、単語を、英語なら英語
     を日本語に直してくれるだけでも、何も知らない人にとっては随分役にたつ
     かもわかりません。そういう意味では、翻訳は、私は意外に役にたつと思い
     ます。犬と猫を見分けるというのは、人間の方がずっとできる訳です。でき
     ない人などいません。英語は日本人でも比較的わかっているかもしませんが、
     これがフランス語とか、他の言葉とか、ぜんぜん聞いたこともないような言
     葉ですと、全然わからない訳です。それだったら、単語だけを、訳して並べ
    てくれるだけでも、だいたい意味がわかる訳です。」
木村「それからもうひとつ、これをお聞きになっている方も、まあ、いいのはわか
    っているけど、あのキーボードが... っておっしゃる方も多いかと思います。
      例えば、音声入力、そういうことの将来はどうでしょうか?」
神田「ええ、それも随分研究されています。たぶん一番難しい部類のひとつです。
     まだ、犬と猫を区別する方が簡単だと思います。我々は、状況を知っている
     から、いろんな話が全部わかる訳です。だいたい、この人はこんなことをい
     うだろうな! とか。ところが機械というのは、状況を教えられてなくて、ス
     イッチを入れて、すぐ聞いてみろ! といわれましても難しいですね。それ以
     外にももっとハンディがいっぱいあります。結局、そういうことをやればや
     る程、人間というものは素晴らしいなあ..ということがわかるだけという感
      じですね。」
木村「コンピュータの最先端に行く方がそういうことをおっしゃるとは、思っても
      いませんでした。」
神田「昔は、音声入力ももっと簡単ではないか! という研究も何十年もされてい
     ます。最初は音声をもっと圧縮してやると、電話線一本でたくさんの人が電
     話ができるのではないか、という技術的な関心があって研究されました。結
     局、いろいろやりましたが上手くいきませんでした。だんだんやってみると、
     人間は、どういう風になっているのかということがわかってきたというのが
    現状です。」
木村「は〜。明日はいろんな意味で、最初にコンピュータがきたのがアメリカでし
     た。それとは違う日本語の道具を開発されました。アメリカを今、見てみる
    とどういうことなんだろうという話を伺いたいと思います。」
                              つづく



284/512   PDG00560  秋山千春          木村太郎のワンダーランド 12/22放送分
( 6)   90/01/12 01:46

TBS ラジオ  「木村太郎のワンダーランド」  12/22(金) 18:30 〜

出演者: 木村太郎さん、木場弘子さん (アナウンサー) 、神田泰典

木場「今週のお客様は、富士通の常務理事でいらっしゃいます神田泰典さんです。」
木村「神田さんが日本のワープロの生みの親ということで、今週はワープロ、パソ
   コン、コンピュータの話を伺ってきました。一番最初にお話を伺った時に、
   僕はコンピュータが好きだからこの商売をはじめたとおっしゃってました。
   しかも、その頃はアメリカの凄いコンピュータがありました。IBM ですね。
   そのIBM に追いつき追い越せという過程で、ハードウエアとして追い越すだ
   けではなく、コンピュータ文化というものに、違う方向があるのではないか
   ということで、日本語ワープロをおそらくはじめられたと思います。今、時
   間が経過し、別れてしまったのかどうかわかりませんが、アメリカのコンピ
   ュータをご覧になっていてどうみられますか?」
神田「アメリカのコンピュータもそれなりに行き着くところまできてまして、これ
   から先どういう方向がいいか、と彼らも非常に関心をもって研究しています。
   ヒューマンインターフェイスだとか、マンマシンインターフェイスだとかい
   いまして、人間とコンピュータがどういう風に上手くつきあうか! という
   ことについて関心がはらわれています。使いやすいコンピュータとか、誰に
   でも使えるコンピュータとかいう方向の研究ですね。コンピュータというの
   は、文字で今まで扱っていましたから、絵でコンピュータと対話できないか
   ?  とか。そういう方向にかなり関心が向いています。アメリカなんかはも
   ともと文字でやってましたから、だんだん絵でやるうようになってきました。
   誰でも使いやすいという方向ですね。」
木村「むしろその面では、日本語ワープロの方は、英語からなんとか脱却しようと
   いうことがあったので、使いやすさという意味では先にいったのではないで
   すか?」
神田「そうですね。そういうことをいろいろやってきますと、私どもは漢字があり
   ます。漢字というのはどう読むかわからなくても、見たら意味がわかるとい
   うことがありまして、彼らがやっている絵でコンピュータといろいろ対話す
   るということの先の方に漢字があるのではないかという感じがします。そん
   な風に僕は思っています。漢字は例えば、ごんべんになんとかと書いてあっ
   ても、こちらがごんべんでこちらがなにだから、こういう字だなどと、全然
   意識しないで見たら読める訳です。見たらすぐに意味がパッ! とわかる訳で
   すね。」
木村「木などは木の絵ですし、木が二本で林ですし、みっつで森っていうのはまさ
   に絵ですよね。」
神田「まあ、そういう、ある程度、はっきりわかっているものもありますし、我々
   も慣れてしまうと、木がふたつあるから林だとか、みっつあるから森だとか
   全然思っていません。花という文字を見ると、なんとなく頭で花の絵がパッ
   ! と浮かぶ訳です。猫という字を見ると猫の姿がパッ! と頭の中に浮かびま
   す。そういう意味では漢字そのものが、いろんな人と情報を交換するための
   絵文字として使われています。彼らにはアルファベットしかありませんから、
   そういう風な絵文字みたいなものを非常に研究しているんです。」
木村「今、伺ったことにふたつ側面があるような気がします。ひとつはきっとスー
   パーコンピュータみたいな能力がどれだけ日本とアメリカと、これからどち
   らが優秀なものを作るという、この辺はいかがですか?」
神田「これは、日本語とは全然関係ありません。これはテクノロジーの勝負です。
   どれだけ素晴らしいテクノロジーのものを作るかということですね。日本人
   も最近の半導体ですと、集積度の高い、誤りの少ない、故障の少ない半導体
   を作るということは日本人も随分たけてますし、たくみの国ですから、そう
   いう意味では日本も結構いけるんじゃないか! って感じはしてますね。これ
   はまあ、日本語とかには関係ない話ですが。」
木村「もうひとつは、そのスーパーコンピュータは別にしまして、日常的にビジネ
   スとか、家庭で使うコンピュータ、これは逆にいうと機械だけでなく、ネッ
   トワークの問題とか、データバンクの情報量の問題とかいろいろと周辺の整
   備が必要だと思いますが、これはいかがですか?」
神田「これも、結構日本の方がいい可能性もあると思います。日本語というものが
   コンピュータにのらなかったので問題があった訳ですけれども、一旦のりま
   すと、漢字かなまじり文というのは、日本人同士がいろいろ情報交換するの
   には優れていますし、日本というのは、わりとまあ、比較の話でしょうけれ
   ども、平等な社会なので、いろんな人がわりと自由にコミュニケーションし
   ているように、私は感じます。そういう意味ではこういうコミュニケーショ
   ン手段というのが発達する可能性はすごくあると思います。新聞なども、日
   本の場合は、発行部数がすごく多い訳ですね。同じ新聞をみんな読んでいる
   という感じですね。そういう意味では広がる可能性が日本の方が高いと思い
   ます。」
木村「ほ〜、そうですか? 最後に、今、お持ち頂いたA4型のワープロ、重さ2 キ
   ロぐらいになりました。十年前の何分の一くらいになっている訳です。十年
   先、どのくらいの大きさになりますか?」
神田「う〜ん、想像もできないですね。ポケットに入るとかですねぇ?  ポケット
   に入ってもキーボードがそんなに小さくなると打てないかもわからないです
   しね。しかし、なんか、かなり大胆な発想をしても外れないのではないかと
   いう感じがします。今、あまりチビチビという発想をしておいても、駄目だ
   というのは、歴史的にもはっきりしていますね。」
木村「そうですか。どうも今週は楽しいお話をありがとうございました。」
神田「ありがとうございました。」

まとめ
木田「今週のゲストは日本語ワープロの生みの親、神田さんでしたけれども、この
   先、コンピュータはどこまでいくんでしょうねぇ?  本当に... 」
木村「あの〜、神田さんがひとつおっしゃったことで、僕はびっくりしたことがあ
   りました。機械は人間に比べてハンディがあるんですよね。っておっしゃっ
   てました。人間がハンディがあるということは聞いたことがありますが、機
   械がハンディがあるということは聞いたことがありません。これはやっぱり
   ワープロのお父さんだな! という感じがしました。そのお父さんが機械と
   取り組んでいると、人間は素晴らしいとおっしゃてました。これは僕らがい
   うよりは数倍価値のある言葉だなという感じがしましたですね。」
                                   完